【買取実績】中国ブランドってどうなの?【万年筆】
どうもみなさんこんにちは!
こちら、査定デスクです。
さて前回は珍しいメーカーの万年筆を紹介しましたが、
今回も国内ではマイナーなメーカーの万年筆をご紹介致します。
豪華絢爛 中国伝統技術の光る一本
デーンと現れたこちらの金ピカ万年筆。
中国のメーカー「英雄-HERO-」から出された「1002金」です。
18金と書かれているだけあって、やはりずっしりと重いです。
この一本はだいぶ磨かれていて、細かな粒状パーツもピカピカに輝いておりますが、
これがくすんで来ますとなんともいい味を出したりします。
首軸部分の青いマーブルも、ゴールドとの対比でいい感じです。
……………
さて……とはいえ皆さんはこう思うのではないでしょうか。
「中国の万年筆って……大丈夫なの?」
日本国内でも有名な中国のパクリ事業の印象から、すっかり「中国の」とつくだけで信用度がガタ落ちする今日です。
実際英雄は輩出したペンのデザインがパーカーに似ているということで、一時期問題になったこともありました。
とはいえ、万年筆マニアからは中華マンということで呼ばれることもある中国産万年筆。
どういうものなのか知りたいという人もいらっしゃるかと思います!
幸いなことに、今回当店では中国産万年筆を幾つか査定する機会がございました。
ですので、今回は中国産万年筆の特徴について、ズバッと書いていっちゃおうと思います。
カテゴリはなんにしよう……万年筆こぼれ話とかでしょうか?
どうなんだろう? 中国万年筆のホントのところ
さて、万年筆を見る際の主なポイントはなんでしょうか。
ペン先の性能ですとか、
全体のバランスですとか、
まあ色々ありますが、大きくできるだけ簡単に分けて、
次の2つではないかと思われます。
○筆記性……書くことに関する性能
○外観性……見て楽しむことを考えたときの性能
これらを中心に考えたときに、中国製の万年筆は次のように言えるかと思われます。
外観性>>>>>>筆記性
……はい、おもいっきり外観性寄りです。
メーカーさんには申し訳ないのですが、中国製万年筆の書き味というのは、あまり良いとは言えません。
人民元を円換算して考えても、日本国内で購入可能な同等の価格帯のものに劣ってしまいます。
(そう考えるとカクノやプレピーなど、国内メーカーの1000円万年筆はものすごいんだなと実感させられます……!)
もちろん書けないことはないのですが、少なくとも筆者の試筆した限りでは14Kペン先は乾きが早く、カリカリとしていて柔軟性に欠けております。
これはペン先の材質(金の他に使用している素材ですね)と、ペン芯のクオリティの問題かと思われますね。
ペン芯は外側から見ると気になるのは色合いくらいなのですが、カートリッジ差込口を覗くとよくわかります。
ペン芯が少し浮いていたり、そもそもペン芯そのものが生産時の気泡が残っていたりします。
万年筆を分解したことがある方は御理解いただけるかと思われますが、ペン芯は太さの割にスリットがたくさん入っていて、薄く折れやすいパーツがたくさんあります。
気泡によってインクの筋が塞がれたり、あるいは多く保持しすぎてインク顔料の詰まりを引き起こしたりと、こういった気泡によって起こる不都合なことは、非常に多いのです。
ペン芯、ペン先というのは各企業が研究開発していったものですからね。
そう簡単には同じものは作れません。
やはりこの部分は、技術力が追いついていないということでしょう。
さてさて、ここまでボロクソに書いてきましたが、少々お待ちください。
万年筆はただ書くだけではなく、プレゼントとして送られたり、趣味としての面がございます。
であれば書くことだけに目を向けるのはアンフェアというものです。
外観性をあげるならば中国産万年筆は目を見張るものがあります。
もとはといえば、欧州でも重宝される陶器類は中国国内が原産の物もあります。
(あの、白地に青いインクで絵が描かれた、青花というものがいい例ですね)
日本国内にも中国原産の美術品は多くあり、やはり外見の美的センスは中国メーカー独自の良いところがあります。
今回ご紹介した1002金なんかは中国の伝統的な「古銀器」をモチーフとしたモデルですし、
漆に関して言えばあのS.T.デュポンも取り上げるのは中国の漆です。
ペン先も他メーカーには無い配色パターンもあったりします。
まあペン先に関しては調整に不都合な部分もあるので修正がほしいところですが……。
確かに、書き味は良くありません。しかしその美的センスには目を見張る物があります。
筆者としては、逆に言えば技術が追いついていないだけなので、これからの中国メーカーがオリジナリティを重視し、
より良い筆記性能のものを作り上げていったときがどうなるのか……楽しみでもありますね。
外観だけ急ごしらえでなんとか保ったと見るか、書くには向かないが見るには楽しみがあると見るかは読者の皆様次第です。
特別書く予定はないんだけど、インテリアとして万年筆がほしい。
なんて人は、中国産万年筆を探してみるのもいいかもしれませんよ!
それでは、今回はこれにて!